社内報 第0072号
四万人を前にした その景色 2008.03.23 発行

広島ビックアーチ…。その日、スタジアムは四万人の観客で埋まっていました。
アリーナ席の全ては行儀良く特設ステージの方へ向いています。その観客の視線の先…。
赤の矢印の場所に我らがバリ社長は一人、マイクを持って現れました。


若かりし頃は「誰と会えた」だとか「誰を知っている」など、その人自身の価値を決めるには
余りにも関係ない有名人を列挙した経験を誰しもお持ちではないでしょうか?バリ社長もそう。
大昔にバリ商事の社内報でも二つほど、有名人、著名人をフィーチャーした記事があります。
その理由として前述の「他人の知名度で自分を大きく見せる」原理が働いたことを告白します。

しかし社長も相応の歳になり、その方法論の無価値に気付いたことで、以降の社内報はおろか
社長が運営するサイトやブログには、必要の無い有名人情報は一切登場していません。

その昔、社長がテレビ局で打ち合わせをしていた時の話。急に局内が慌しくなりました。
何事かと、汗して走るADに尋ねると、あろうことかこんな答えが返って来ました。
「今、上戸彩ちゃんがスタジオに居るそうなんです!中島さんも一緒に見に行きませんか?」
その際、我らがバリ社長は優しく、こう諭したのです。

「いいかい?俺たちテレビに携わる人間は料亭で言うところの板前さんだ。
 視聴者と言う御客に最高の料理で、おもてなしをするのが仕事じゃないか?
 今のお前たちは『すごい食材が入った』と生け簀の中の鯛を見て大騒ぎしてるようなもんだぞ。
 そんな暇があったら、仕込みでも接客でも、板前としての自分の仕事に専念しなさいな。」

その言葉を聞いたADは「でも今、僕、暇なんで」とだけ言い残し、スタジオに走って行きました。

そんな誰もが痺れる珠玉の言葉を発した男こそ
左の写真に写っている濡れネズミです。

前置きが長くなりましたが、そんなポリシーを
勝手に掲げて仕事をする社長をもってして
「あの日の興奮は社内報で語らせてよ。」
とまで言わせる経験…。
それが「四万人の前で喋る」だったのです。

Xデーは俄かに降り出した雨で
傘も用意が出来ず、誰しもズブ濡れでした。

Mr.Children "HOME" TOUR 2007

その広島での開催が広島ビッグアーチであり
ライブ後、その広大な会場から事故無く
観客を退場させるべくアナウンスをする
”規制退場”の役目。
それを社長は仰せつかったのです。

「仕事」である以上、バリ社長は「板前」であり、その内容は「お客様を迅速に安全に誘導する」
その一点だけです。しかし、その「仕事場」から見える景色は想像を絶していました。
「仕事」前、ライブを楽しんでいた社長の元に、いよいよお呼びが掛かりました。
ライブはアンコールの真っ只中。ステージの袖に通され、そこから社長が肉眼で見た景色。
数多の照明に照らし出された手。手。手。四万人×手で八万本の手。正に圧巻でした。

うねりにも似た四万人の熱気と「もうすぐ、ここへ飛び出していくのか?」と言う
たった一人の恐怖が綯い交ぜとなる瞬間。
何かと袋小路に迷い込みたがる社長が、それでも仕事を続けられるのは、こうした
おおよそ濡れネズミでは経験できない瞬間を目撃できる「仕事場」だからなのでしょうね。

因みに、この仕事が社長に来た理由は、スタッフ曰く「会場から家が近かったから」だってさ。

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